ベビー服の水通しの方法:洗濯機に洗剤を入れるべきか?
ベビー服は事前に水通しをしてから着させるように言われています。
しかし、ベビー服の水通しの方法がよくわからないという方もいるのではないでしょうか。
また、水通しをするときに洗剤を入れるか迷ってしまうかもしれません。
とりあえず「洗剤を入れておけばいいよね」と安易に入れてしまう方もいますが、これはいけません。
洗剤を入れるのは服をキレイにしてくれる反面、界面活性剤が使われている可能性もあるからです。
たとえば大人用と同じ洗剤でベビー服を分けずに洗ったとします。
すると合成洗剤の界面活性剤の残留が発生し、皮膚トラブルが発生する可能性もあります。
水通しと洗剤を使った洗濯は別物です。
洗濯は衣類をキレイにするために行いますが、水通しは着心地や毒素を除去するために行うからです。
そのため、水通しは新品のベビー服の場合には毎回行ってあげる必要があるのです。
つまり服を買ったときに行う儀式のようなものです。
このページでは水通しを行う方法と、なぜ水通しが必要なのかを解説します。
- 水通しが必要な理由とは
- 水通しをする方法とは
- 洗濯機に洗剤は必要なのか
こうしたことを知っておけば、出産準備で大量の服を揃えたときでも水通しをスムーズに確実に行うことができます。
その結果、赤ちゃんに安心・安全な状態で服を身に着けさせてあげられるのです。
ベビー服に水通しが必要な理由
ベビー服に水通しが必要と言われているのは次の3つが大きな理由です。
- ベビー服についている糊を落とす
- ホルムアルデヒドを溶かす
- ベビー服の吸水性をアップさせる
それぞれ順番に見ていきましょう。
1.ベビー服についている糊を落とす
赤ちゃんのベビー服は通常、綿100%で作られています。
皮膚に化学繊維に含まれる物質の刺激を与えないように配慮しているためです。
綿100%の服に水通しを行うことで素材が柔らかくなります。
これは服に糊がベッタリとついているから。
糊が落ちると服が柔らかくなるため、服の着心地もよくなります。
綿に限らずですが、生地は縦横に交わってできている織物です。
織りの製造工程で綿の糸が切れないようにあらかじめ糊をつけてから織ります。
この糊があることで服を作ることができるのです。
しかし、ベビー服の完成後はコスト削減のために糊を落とさずに販売されます。
素材に糊がついていると表面に膜がある状態なので綿の吸水を邪魔します。
なので、水通しをして糊を落とすことで吸水性をアップさせることができるのです。
たとえば、綿のタオルを使う前に水通しをするとふんわり感がアップします。
これも同じように糊を落として綿が水を吸収できる状態になるからです。
2.ホルムアルデヒドを溶かす
服を作った後、何の加工もしていないとシワがすぐできてしまいます。
そこで服のシワや風合いが損なわれるのを防ぐ目的で行われるのが樹脂加工です。
さらに樹脂加工の中に含まれている化学物質が「ホルムアルデヒド」です。
ホルムアルデヒドは防シワ、防縮、風合いを保つなどの実用性アップのために使われています。
安価なうえに効果も高いのですが、問題は毒性があることです。
毒性とは発がん性物質のことです。
新生児や生後3ヶ月程度の赤ちゃんがホルムアルデヒドの残留した服を着るとアレルギー皮膚炎やアトピーを引き起こすことで知られています。
ただ、ホルムアルデヒドは水に溶けやすい性質を持っているので水通しをするだけで除去が可能です。
このため、ホルムアルデヒドを取り除くために新品のベビー服は着用前に水通しを行う必要があるわけです。
ベビー服が袋に入っている理由
市販の服のほとんどにホルムアルデヒドが含まれています。
そして、ホルムアルデヒドは空気中から移染することが確認されています。
目に見えないうえに周りの服や建物から服に付着するのです。
なので、新生児や赤ちゃんのベビー服には袋がかぶせられていてホルムアルデヒドの移染を防いでいる役割があります。
3.生地の歪みと縮みを補正する
ベビー服に使われる綿100%の生地は縦糸と横糸が交わっている織物です。
最初は垂直にキレイに交わっている綿の繊維も服に仕上がった後に巻いたりたたんだりしているうちに生地に歪みが発生します。
しかし、水通しをすることでこの歪みを補正することができます。
同時に服の縮みが起きるため目が細かく詰まります。
日本製の生地は出荷前に縮ませた生地を使っていることが多いのです。
反対に外国製のベビー服は事前に水通しされていないものが多いです。
このためサイズを合わせる目的も水通しは持ち合わせていると言えます。
なお、水で縮むのは綿や麻の天然繊維だけです。
ポリエステルなどの化学繊維は水では縮まないので水通しも不要です。
水通しの方法は洗濯機か手洗いで
ベビー服の水通しは手洗いと洗濯機を使う2つの方法があります。
どちらも家庭で行える代表的な方法で、特別なことは何もありません。
全自動洗濯機ならセットしてボタンをポチッで脱水まで完了です。
手洗いなら普段の洗濯と同じように水に浸け、もみ洗いして乾かすだけです。
しかし、2つの水通しのやり方で得意不得意な場合があります。
それが生地へのダメージと水通しを行う服の数です。
手洗いと洗濯機の水通しするメリット、デメリット
手洗いと洗濯機は一長一短でそれぞれにメリット・デメリットがあります。
ここではメリットとデメリットをまとめてみました。
手洗いのメリット
- 生地を傷めにくい
- 水道代の節約になる
- 1着だけでも手軽にできる
- 脱水は洗濯機を使うか手絞りが必要
- 全自動でできないため少々手間がかかる
- 服をまとめて浸けられる入れ物が必要
- 洗濯機に入れてボタンを押すだけでほぼ完了する
- 手洗いより大量の服を同時に処理できる
- 洗濯機を日頃使っていれば何か新しいものを取り入れる必要がない
- 電気・水道代が余分にかかる
- 脱水時に型くずれや服の生地を痛めることがある
- 少量を洗うのは向いていない
- 洗濯槽が汚れていると菌が付着してしまう
手洗いのデメリット
洗濯機のメリット
洗濯機のデメリット
箇条書きに書き出してみるとそれぞれが反対の特徴を持っているのがわかります。
手洗いは「節約・少量対応・痛みにくい」
洗濯機は「楽・大量処理・追加の出費なし」
デメリット部分はそれぞれ異なりますので、ご家庭の状態と水通しする予定の数で決めるのが1番です。
ベビー服以外にガーゼなども一緒に行うことが多いですから、洗濯機を回す方のお話もよく聞きます。
洗濯機を回す時にベビー洗濯洗剤は必要?
水通しだけをするときに洗剤を入れる必要はありません。
1番除去したい「ホルムアルデヒド」に洗剤の有無は影響ないからです。
洗剤を入れて洗っても、入れずに洗ってもホルムアルデヒド自体は除去できます。
ならばあえて界面活性剤を含む洗剤を使う必要はないと言えます。
水通しというくらいなので、水に浸して溶かすだけで十分なのです。
ベビー用の洗剤は化学物質が含まれないものも多数販売されています。
しかし、水通し目的で買い揃えるほどのことはありません。
水に浸けてもみ洗いする程度で普通のホルムアルデヒドは十分に除去できます。
また、水通しに使った水はすぐ捨てるようにしてください。
ホルムアルデヒドが水に溶けるとホルマリンという水溶液に変わります。
同様に非常に危険な劇物として扱われるものです。
赤ちゃんにはなるべく化学物質等の自然でないものに触れさせない方が無難です。
お子さんによって症状の出る場合とそうでない場合もありますが、安心・安全に備えておいて損はありません。
洗濯ネットはしたほうがいいの?
複数のベビー服を洗うときは生地のダメージを抑える効果があります。
服の絡まりも防げるため出産準備で揃えたベビー服を何着もまとめて水通しするときは洗濯ネットに入れておくと有効です。
新品の服なので洗浄力が落ちることを気にする必要もありません。
メインは水に浸けることですから、生地のダメージで使用するか判断してください。
可能であれば1着ずつ分けてネットに入れておけば摩擦のダメージも減らせます。
洗濯乾燥機は使える?
水通しはただの水濡れ状態ですからもちろん使えます。
ドラム式の自動洗濯乾燥機を回せば乾かすところまで一気に仕上がります。
ただし、服がシワになっているとシワ部分を赤ちゃんが不快に感じることもあります。
乾燥機から取り出したあとにシワが目立つ部分はアイロンで伸ばしてあげましょう。
水通しをするのに最適な時期
出産準備で大量にベビー服を揃えた場合は臨月を迎えるまでに最初の水通しを終わらせておくのが良いです。
臨月から先はいつ何が起きるかわかりませんし、お腹が大きいときにあれこれと動くのは大変です。
目安は妊娠34週目くらいまでに水通しを終わらせておくこと。
出産ギリギリまで残すよりも早めに終わらせておくと気持ちも楽になります。
既に出産していてお子さんがいる状態なら、服を買った日でも着る前日でも水通しした服が乾くならいつでも構いません。
水通し後すぐ着ない時の保管方法
早めに水通しを済ませてしまうと今度は保管に困るかもしれません。
妊娠期間中の出産準備でベビー服を揃えているプレママは、赤ちゃん誕生まで水通し済みの服を保管する必要があります。
しかし、保管方法は大人とほぼ変わりません。
普通に畳んでタンスに入れておくだけで大丈夫です。
ほこり等が気になる場合は着させる直前にもう一度洗い直してください。
保管時にはタンス内に防虫剤や香料のある用品を使わないようにしましょう。
新生児でなければ神経を使う必要も減りますが、産まれたての赤ちゃんは想像以上にデリケートです。
ちょっとした化学物質が服についているだけでも皮膚荒れのトラブルに繋がります。
不要なトラブルを減らすためにも除湿剤の使用だけに留めておきましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
面倒でも水通しを毎回キッチリしておけば安心・安全です。
ホルムアルデヒドの被害は現実にいくつもニュースで取り上げられています。
実際に中国製のベビー服メーカーが自主回収を行った事例もあります。
このときはベビー服に含まれるホルムアルデヒドの検出濃度が高すぎたため、赤ちゃん達の肌トラブルが多発しました。
水通しを1回していても濃度が高すぎたために溶かしきれなかったほどです。
何度か洗えば最終的には落とせますが、水通しを何回もする方も珍しいです。
いつ何があるかわかりませんから、ベビー服に限らず水通しは大人の服も同様に行っておく方が安全です。
日本製は海外製に比べればホルムアルデヒドの被害にも気を使っています。
それでも絶対はありませんので、どんなベビー服でも綿100%のものは生後3ヶ月程度まで毎回水通しをしておく方が良いです。
手間はかかりますけど、何かトラブルが起きたほうがもっと手間になりますから。
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