赤ちゃんのしゃっくり:ピタッと収まる7つの止め方と原因

病気・ケガ

赤ちゃんのしゃっくりが止まらない時ってありませんか。
あなたならこのとき「どうやって」止めますか?

赤ちゃんのしゃっくり

ワッ!と大声で驚かせたり、くしゃみをさせたりしていると危険信号です。

実はしゃっくりって放置していても平気な症状なのです。
ただ放置だと心配が絶えないこともあるので、今回はしゃっくりの止め方を 7 つ紹介します。

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しゃっくりを止める 7 つの方法

しゃっくりを止める方法は医学的にハッキリとしていません。
しかし、民間療法ながらも様々な方法でしゃっくりを止めることに成功しているお話や資料があります。

1. 母乳やミルク、湯冷ましを飲ませる

飲み物を飲むことで赤ちゃんに別の刺激を与えます。
しゃっくりは横隔膜の痙攣で起こるのでそれを止めようという考え方です。

この方法は「小学生の「体のしくみ」大疑問100―目からうろこ」のP32〜P33で紹介されています。
実際の表現は水をごくごく飲むと良いと書かれていますが、
母乳やミルクも同じ飲み物ですから効果は同じです。

2. 授乳後はげっぷをさせる

授乳で空気を一緒に飲み込むのでげっぷをさせないといけないことは
既に知っていると思います。

飲み込んだ空気が横隔膜の痙攣を引き起こす原因にもなります。
そこでげっぷを出してあげると同時にしゃっくりが止まることもあります。
授乳後にしゃっくりをしたときはげっぷで止めてあげてみてください。

3. おむつを交換してあげる

正確には冷えの原因を取り除いてあげるのが有効です。
おむつが濡れていると体温が奪われてしまうので、
おむつ交換をして冷えないようにしましょう。

赤ちゃんはデリケートでちょっとした体温の変化でも
体が反応してしゃっくりが出ます。

4. 体を温めてあげる

冷やすとしゃっくりが出る反対のことをしてあげます。
寒さで体がブルブルしているとしゃっくりが出やすいです。

なので体を温めてあげると落ち着ついてしゃっくりも止まりやすくなります。
温めるときはお湯に濡らしたタオルをお腹に当ててあげると効果的ですよ。
お風呂上がりなど体が冷えやすいときほど注意してあげてください。

5. お背中トントンやさすってあげる

背中をさすってあげると体を温めてあげることにも繋がります。
体温が上がれば気持ちが落ち着いてしゃっくりが止まることもあります。
さする前はママの手を温めておくとより効果的です。

背中をトントンするとしゃっくりが止まるという体験談もあります。
しかし、ハッキリした根拠がなく効果のほどは「?」が浮かびますね。

6. 足のツボを軽くさすってあげる

足の甲の部分、足首と足の指のちょうど中間地点に横隔膜のツボがあります。
わかりにくいので大人用ですが動画を載せておきます。

強く押すと刺激がありすぎるので手の平でかるくさすってあげる程度で十分です。

7. 自然に止まるのを待つ

しゃっくりを止める方法ではありませんね。
しかし、自然に止まるのを待つのが 1 番良い方法です。

未熟な赤ちゃんにあれこれする必要なんてありません。
本来はしゃっくりを意図的に止める必要すらないのです。

それに実際に何もしなくてもそのうち出なくなります。
毎日しゃっくりしていても 1 日に何回出ても心配は無用です。
体に害がないことは小児科の先生からも言われますからね。

しゃっくりは自然に止まるのを待つのが最善策

赤ちゃんのしゃっくりは苦しそうに見えますよね。
でも、しゃっくりをしている赤ちゃん本人は大人のような苦しさを感じていません。
なので、無理に止める必要もありません。

赤ちゃんは平均で 1 日に約 36 分間もしゃっくりをしています。
これを毎回止めるのって大変ですよ。

たしかに今回紹介したようにしゃっくりを止める方法は存在しています。

  • 背中を軽くさすったり、トントンしたりする
  • おむつを替える
  • 体を温める
  • 母乳やミルクの後にげっぷを出す
  • 飲みものを飲ませる
  • 足のツボを軽くさする

それでも無理に止めないことをおすすめするのはもちろん理由がありますよ。
ひとことで言うなら「呼吸器系を鍛えることができる」からです。

そのためにはしゃっくりがどういう仕組みで出るかを知る必要があります。
仕組みがわかっていればしゃっくりを止める必要もないことがバッチリわかります。

赤ちゃんのしゃっくりは、なぜ出るのか

これは何度かお伝えしてきました。

しゃっくりが出るのは「横隔膜(おうかくまく)が痙攣している」からです。
横隔膜とは肺の下に位置しているドームのような形をした膜状の筋肉です。

名称は「膜」となっていますが、じつは筋肉なのです。
なので横隔膜は他の筋肉と同じように痙攣することがあります。
そのときに起こる症状がしゃっくりです。

横隔膜は収縮を繰り返すことで肺を上下に
ポンプのように押したり下げたりしています。

これがあるから私たちは呼吸を上手に行うことができるというわけです。
つまり横隔膜は呼吸を助けるための筋肉と言えます。

横隔膜が痙攣するときは赤ちゃんのお腹がいっぱいのときによく起きます。
なぜなら、胃がパンパンになって横隔膜を刺激してしまうからです。

また、同時に授乳時には空気がお腹の中に入りやすいです。
これもまた横隔膜を刺激する原因になるので、しゃっくりを引き起こしやすくします。

赤ちゃんの横隔膜は未熟で体の内外からの刺激も受けやすいです。
ですので、ちょっとしたことですぐにしゃっくりが出てしまいます。

では、なぜしゃっくりのときに「ヒック」という音が出てしまうのでしょうか。
それには喉の奥にある「声帯」が影響しているのです。

しゃっくりのヒックに関わる声帯

しゃっくりをするとき「ヒック!」と声が出て体が震えますよね。
声が出るということは体の「声帯」を使っているから起こる音です。

声帯とは喉にあるヒダのような形をしている発声するための器官です。
シャ乱 Q のつんくさんが喉頭がんの手術で摘出し
声を失ったことでもスポットを浴びましたよね。

この声帯が閉じたり開いたりすることで声を出す働きをしています。
声を出すときは閉じていてヒダに空気を通すことで声(音)を出します。
反対にただ呼吸をするときは開いている状態です。

私達の普段発している声は、声帯に肺から空気を当てて
声帯を振動させている音なのです。

余談ですが、声を職業としている歌手やモノマネを得意とするひとは
この声帯の扱いが非常に多彩なわけです。

さて、ここまでの話を理解するとひとつわかることがあります。
ということは、しゃっくりをするときは開いている?閉じている?

はい、正解は声帯を閉じているわけです。

そして、しゃっくりが出るときは先ほどの横隔膜が急速に収縮します。
このとき横隔膜のポンプとしての役割がいきなり動き出すので肺が急に膨らみます。
当然、肺が膨らむと肺の容量が増えますよね。

するとどうなるか。
肺が空気を一気に吸い込んでしまいます。
このとき同時に声帯が影響を受けてキュッ!と閉じる動作をします。

この狭くなった声帯に今度は吸い込んだ息が勢いよく通過すると
しゃっくりの「ヒック!」という音になります。
ここまでがしゃっくりをするとヒックという音が出る仕組みです。

では、なぜ横隔膜が急に収縮してしゃっくりが出てしまうのでしょうか。
それには脳の神経に大きな関わりがあります。

しゃっくりと迷走神経

12 対ある脳神経の 10 番目に迷走神経というものがあります。
この迷走神経は体の中の様々な臓器に神経を送っている万能神経です。
もっとも長い神経で何とその距離は脳からお腹にまで届いています。

そのため影響範囲が広く、関わるところが多いです。
言うなれば脳の神経というより「生きていくための神経」です。

そして、医学的には迷走神経を刺激すると
しゃっくりが止む効果がある
と言われています。

迷走神経に刺激を与えるには水を飲んだり舌をひっぱったりすると刺激になります。
だから母乳やミルクを飲むとしゃっくりが止まると言われているわけですね。

この迷走神経はその中で「延髄(えんずい)」と呼ばれるところに繋がっています。
延髄とは迷走神経よりさらに上流にある神経の中継地点です。

延髄が様々な神経に命令を出して制御しているわけです。
呼吸だったり心臓だったり、せきやくしゃみも延髄が支配する中枢です。
その中に横隔膜の神経である横隔神経(おうかくしんけい)が延髄とつながっています。

また、声帯の左右の間にある隙間、「声門」が迷走神経とつながっています。
つまりしゃっくりの原因となる横隔膜と声帯はどちらも延髄に繋がっているわけです。

しゃっくりが起こるとき=延髄に刺激が与えられたときです。
延髄に刺激が与えられると延髄が怒って暴走します。
延髄が暴走状態になってしまうと意思と関係なく横隔膜が収縮してしまうのです。

するとしゃっくりが出てしまうということですね。

しゃっくりは横隔膜が痙攣しているから起こると最初にお伝えしましたが、
そこにいたるには延髄への刺激がきっかけになるというわけです。

赤ちゃんのしゃっくりを放置してもよい理由

  • 呼吸の練習にもなり、肺が丈夫になる
  • 胎児の頃からお腹のなかでしゃっくりをしてきている
  • しゃっくり自体が赤ちゃんにとって苦しくないもの
  • 1 日に何回しゃっくりをしていても平気
  • 平均 36 分し続けるしゃっくりを止める方が赤ちゃんに負担

小児科の先生から聞いたお話によると上記の理由で 9 割以上のしゃっくりは異常がなく放置していても大丈夫なものとのことです。

特に呼吸器の訓練を兼ねているため
むやみに止めてしまうと逆効果になる考え方もあります。

しゃっくりは 3 種類。2 日間ずっと続いたら病院へ

しゃっくりを医学用語では吃逆(きつぎゃく)といいます。
吃逆には 3 種類あって、それぞれの名称は以下のとおりです。

  1. 吃逆発作 もしくは 急性吃逆
  2. 持続性吃逆 もしくは 慢性吃逆
  3. 難治性吃逆

それぞれしゃっくりが出はじめてから終わるまでの時間だけを基準に分類されます。

48 時間以内:吃逆発作 もしくは 急性吃逆
1 ヶ月未満:持続性吃逆 もしくは 慢性吃逆
1 ヶ月以上:難治性吃逆

専門用語が並んだので順番に説明していきますね。

吃逆発作(きつぎゃくほっさ)・急性吃逆(きゅうせいきつぎゃく)

赤ちゃんのしゃっくりはほぼ 48 時間以内に止まる急性吃逆です。
起こりやすい原因がさらに 3 つに分かれています。

1 つ目は胃が大きくなる行動を取ると起こり延髄に刺激が与えられる
早食いや大食い、大笑いしたときに発生します。

赤ちゃんの場合だと授乳のときに空気を一緒に飲んでしまって
胃が拡張したときにこのしゃっくりがでやすいです。

2 つ目に延髄をコントロールする脳が疲れているときにも起こります。
おもにストレス疲労が原因ですね。

3 つ目に胃腸やその周りの温度変化があげられます。
冷たいシャワーを浴びたり、温かい飲み物を飲んだりしたときに起こります。
おむつを交換したら止まると言われている部分の理由はコレですね。

ただ、この急性吃逆は放置していても数分程度で収まるものがほとんどです。
赤ちゃんが頻繁にしゃっくりしても心配しなくて大丈夫ですよ。

しかし 48 時間以内にしゃっくりが収まったとしても
寝ているときにまでしゃっくりで目をさますときは要注意です。
病気が潜んでいる可能性があるので、病院へ行ってみてください。

持続性吃逆(じぞくせいきつぎゃく)・慢性吃逆(まんせいきつぎゃく)

48 時間以上 〜 1 ヶ月未満に収まるしゃっくりです。
2 日間以上にわたってしゃっくりが続くときは病気が関わっていることが多いです。
ストレスの場合もあるので、早めに病院へ行ってください。

難治性吃逆(なんじせいきつぎゃく)

難治性吃逆とは 1 ヶ月以上続くしゃっくりです。
長いしゃっくりだと 1 〜 2 年単位で続く方もいらっしゃいます。

難治性吃逆が起こる主な原因は病気にあります。

世界最高のギネス記録は何と 68 年間しゃっくりをし続けた
アメリカの「チャールズ・オズボーン」さん(享年 96 歳)
最終的には亡くなる 11 ヶ月前に止まったのですが、治った理由は不明のままです。

ここまでのお話をまとめておくと、48 時間を超えて続くしゃっくりは
何らかの病気が関係している可能性が非常に高い
ということです。

しゃっくりしていると機嫌も悪くなりますし、安眠も妨害されてしまいます。
もし、しゃっくりが病気によるものだった場合には早期の特定が必要です。

では、どんな病気の可能性があるのかを説明します。

病気が原因のしゃっくり

病気が原因となるしゃっくりは心因性・器質性・特発性の 3 つがあります。

心因性の病気ストレス、興奮、人格障害、ヒステリー性神経症
器質性の病気脳腫瘍、脳出血、頭部外傷、心膜炎、肺炎、甲状腺腫、狭心症、 胃潰瘍、胃癌、薬、アルコール中毒、糖尿病、インフルエンザ、結核 など
特発性の病気原因不明

この 3 つのいずれかに当てはまります。
そこからさらに横隔膜が刺激されるしゃっくり、中枢神経が刺激されるしゃっくり、末梢神経が刺激されるしゃっくりの 3 パターンに分かれています。

横隔膜が刺激を受けるしゃっくり

胃や食道の消化器系の病気になっている場合に
横隔神経が直接刺激されてしゃっくりが起こります。

具体的には「横隔膜の炎症」「肺炎」「胸膜炎」「気管支喘息」
「胃腸の炎症」「胃がん」「食道がん」「腎臓病」「脳腫瘍」などの病気が
しゃっくりの原因になります。

まとめて横隔膜系のしゃっくりと一括りにされることもあります。

中枢性しゃっくり

中枢性しゃっくりは脳と脊髄をつなぐ
中枢神経が直接刺激を受けてしゃっくりが起こります。

脳に関わる病気やアルコール中毒が原因で
横隔膜の収縮が頻繁に起こることで中枢性しゃっくりが起こります。
1 分間のしゃっくりの回数が多く、なかなか止まりません。

具体的には「脳腫瘍」「脳卒中」「アルコール依存症」
頭部や脊髄の外傷なども原因になる場合があります。

末梢性しゃっくり

末梢性しゃっくりは中枢神経から伸びた
末梢神経が刺激を受けてしゃっくりが起こります。

末梢神経は循環器系の器官の近くを通っています。
循環器系とは体液を体内で輸送して循環させる働きを持った集合体です。

「食道」などの消化器系や「肺」などの呼吸器系、「心臓」も含まれます。
食道も肺も心臓も横隔膜が関連している器官です。
ほかに赤ちゃんのへその緒も循環器系です。

具体的には「心筋梗塞」「食道がん」「肺がん」「甲状腺がん」「肺炎」「気管支喘息」の病気があるとしゃっくりに繋がります。
また、腹部の手術後に消化器が刺激されてしゃっくりが出ることもあります。

まとめ

いかがだったでしょうか。

しゃっくりは誰もが経験したことのある症状ですが、
細かく見ていくとこれほどまでに様々な器官の影響を受けているんですね。

赤ちゃんのしゃっくりのほとんどは一時的なものです。
何もしなくてもそのうち出なくなります。
時間や環境に問題がなければそっと見守ってあげてください。

もし、急いで止めたいときは今回紹介した方法でも対応できます。

無理にティッシュでこよりを作って鼻をくすぐってくしゃみをさせたり、
驚かせて赤ちゃんに負担をかけたりしないようにしてあげてくださいね。

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